Five Star 2026 ─ 画材と表現、そして場が響き合った2日間 ─ 池袋アートマルシェ開催記録

2026年5月30日(土)・31日(日)、重要文化財・自由学園明日館 講堂にて、「池袋回遊派美術展2026共催 Five Star_池袋アートマルシェ」を開催いたしました。

本企画は、IAG AWARDSの過去入選者を中心としたIAGアーティストによるグループ展「池袋回遊派美術展」と、Five Star実行委員会が推奨する画材ブランドによるアートプロジェクト「Five Star」が交差する、コラボレーション企画の第3弾です。

今年もまた、画材、作家、来場者、そして会場そのものが一体となり、単なる展示・販売にとどまらない「体験の場」として、Five Star 2026は確かな足跡を残しました。


■ 序章:記録されるべき“場”としてのFive Star 2026

アートイベントの価値は、作品の展示内容やブランドの出展情報だけでは語り尽くせません。

そこに誰が集い、どのような素材に触れ、何を感じ、どのような対話が生まれたのか。そうした“場の総体”こそが、後年振り返ったときに初めて見えてくる文化的な厚みなのだと思います。

Five Star 2026は、まさにその意味で、記録に値するイベントでした。

重要文化財という歴史的空間の中で、国内外の優良画材ブランドとIAGアーティストの表現が並び立ち、さらにワークショップや実演によって来場者の身体感覚へと接続されていく──。そこには、画材業界の紹介という枠を超えた、ひとつのアートプロジェクトとしての強度がありました。


■ 25名のIAGアーティストと6ブランドが交差した会場構成

本イベントでは、IAGアーティスト25名による平面・立体作品の展示に加え、6つの画材ブランドによるブース出展を実施しました。

  • 名村大成堂 ─ 専門画筆
  • ターナー ─ 国産絵具
  • ミューズ ─ 専門用紙
  • ファーバーカステル ─ 舶来文具
  • ウィンザー&ニュートン ─ 舶来絵具
  • クサカベ ─ 国産絵具

それぞれのブランドは、単に製品を並べるだけでなく、画材の特性や思想、使い手との関係性までを含めて提示していました。会場内では、作品展示と画材体験が分断されることなく共存し、「鑑賞する場」と「試す場」が有機的につながる構成となりました。

これこそが、Five Starの継続開催によって育まれてきた独自性であり、画材と表現の双方を同じ地平で扱うための実践でもあります。


■ IAGアーティストが支えた、表現の密度

Five Star 2026の空間に、確かな重心を与えていたのがIAGアーティストの存在でした。

IAGは、池袋の街とアーティストをつなぐ実践として継続されてきた取り組みであり、そこに集う作家たちは、ジャンルや年齢に限定されない広がりの中から選ばれた多様な表現者たちです。その背景を持つ作家陣が会場に加わることで、Five Star 2026は単なる画材紹介の場にとどまらず、現在進行形の表現と真正面から出会える空間へと深化していました。

とりわけ印象的だったのは、作家ごとの表現が一様ではなく、それぞれが異なる視点と方法論を持ちながらも、同じ空間の中で確かな緊張感と調和を生み出していたことです。多様なジャンルや世代を内包するIAGアーティストの存在は、会場全体に豊かな奥行きを与え、来場者にとっても「作品を見る」だけでは終わらない、思考の広がりを伴う体験につながっていたように感じます。

Five Star 2026において画材ブランドが“素材の可能性”を示していたとするならば、IAGアーティストはその素材がいかに表現へと昇華されうるかを示す、最も説得力のある存在でした。だからこそ本イベントは、画材と作品、体験と鑑賞、産業と文化が分断されることなく、ひとつの有機的な場として成立していたのだと思います。


■ 触れてわかる画材の魅力 ─ 各ブランドブースの体験性

各ブースでは、来場者が画材の特性を直接体験できる企画が展開されました。

  • 名村大成堂:ゲストアーティスト・アトリエ21コラボ商品「アルマ21」展示
  • ミューズ:ゲストアーティスト・枯葉庭園によるバオホン紹介
  • ファーバーカステル:レッドライン色鉛筆の説明・試用体験
  • ウィンザー&ニュートン:プロフェッショナルウォーターカラーの説明・試用体験
  • クサカベ:ハルモニア・シングルピグメント・チャコール水彩の説明・試用体験
  • ターナー色彩:U-35・アクリルガッシュ・透明水彩の説明・試用体験

画材は、カタログやスペックだけでは本質が伝わりきらない分野です。筆の含み、水彩のにじみ、顔料の立ち上がり、紙との相性──そうした微細な差異は、実際に触れることで初めて実感されます。

Five Star 2026では、その「触れてわかる価値」が会場全体に行き渡っていました。ブランドごとの特色が、販売促進ではなく体験共有として提示されていたことは、本イベントの大きな成果のひとつです。


■ 実演とワークショップが生み出した、ライブな説得力

両日には午前・午後を通して、特別参加アーティストによるデモンストレーションやワークショップが行われました。

● 特別参加アーティスト

  • アトリエ21(名村大成堂企画)
    上田耕造氏(画家)、岡田高弘氏(画家)、広田稔氏(画家)、村田彩氏(モデル)
  • 久山一枝氏(新水墨画協会会長)※名村大成堂企画

イベント会場における実演の魅力は、完成品の提示ではなく、制作の過程そのものが鑑賞対象になる点にあります。

どのように筆が置かれるのか。どのタイミングで色が重ねられるのか。どのような身体の運びが画面のリズムを決定するのか。来場者は作品を見るだけでなく、制作に立ち会うことで、表現の背後にある技術と判断の積み重ねに触れることができます。

この“ライブな説得力”は、デジタル化や効率化が進む時代において、なお一層重要になっているように思います。Five Star 2026は、画材の魅力だけでなく、制作行為そのものの尊さを再認識させる場でもありました。


■ 来場者565名 ─ 継続の中で見えてきた確かな手応え

今回の来場者数は、以下の通りとなりました。

  • 5月30日(土):320名
  • 5月31日(日):245名
  • 合計来場者数:565名

また、新たな試みとして、各メーカー様のご協力のもとで土日開催および時間変更を実施した結果、2025年度の485名から、約16.5%増となる集客につながりました。

数字そのものも重要ですが、それ以上に注目すべきは来場者層の幅です。

  • 池袋回遊派美術展 IAG Artist Selection 2026 の見学者
  • 行政関係者・画材業界関係者
  • ワークショップ・ゲストアーティスト目的の参加者
  • ブランド・アーティストSNS発信および代理店フライヤー広告を見て来場した方々
  • 重要文化財 自由学園明日館の見学者

つまりFive Star 2026は、アートイベントとしての核を保ちながら、業界・行政・一般来場者・文化施設来訪者といった複数の層が自然に交差する場として機能していたのです。


■ 行政・文化・産業をつなぐ場としての意義

本イベントの特筆すべき成果のひとつとして、昨年に引き続き、豊島区長 高際様にご来場いただけたことが挙げられます。

画材業界の取り組みや芸術文化の価値を、行政関係者にも直接ご覧いただける機会を持てたことは、Five Starの活動が単発的なイベントではなく、地域文化や社会的価値と接続する実践であることを示しています。

さらに、自由学園明日館という重要文化財で開催されたことにより、空間自体が作品・画材・来場者の体験を包み込み、イベント全体に独自の緊張感と品格を与えていました。

アートと画材は、単なる消費財でも、単なる趣味の道具でもありません。人と文化をつなぎ、地域に記憶を残し、次世代へ価値を渡していく媒介です。Five Star 2026は、そのことをあらためて可視化する場になったといえるでしょう。


■ Five Star 2026が残したもの

この2日間で残されたものは、来場者数や出展実績だけではありません。

画材メーカー各社の製品特性を、来場者が実際に手に取りながら体感できたこと。アーティストの実演によって、素材と表現の結びつきが生きたかたちで共有されたこと。そして、池袋という土地に根差したアートの文脈の中で、Five Starというプロジェクトが着実に存在感を深めていること。

それらすべてが、この年のFive Starを単なる催事ではなく、「記録されるべき文化的出来事」へと押し上げました。


■ 未来への継承 ─ 次回開催へ向けて

皆様のご協力により、Five Star 2026は盛況のうちに終了いたしました。

来年度も継続開催を予定しており、今後さらに、画材の魅力発信、業界の認知向上、そしてアートイベントの社会的価値の可視化に向けて発展していきたいと考えております。

Five Starは、一過性のイベント名ではありません。記録され、共有され、次へ渡されることで、はじめて“文化の資産”になります。

2026年のこの記録もまた、その大切な一頁になることを願っています。


■ 開催概要

  • イベント名称:池袋回遊派美術展2026共催 Five Star_池袋アートマルシェ
  • 開催日時:2026年5月30日(土)11:00~18:00 / 5月31日(日)11:00~17:00
  • 開催場所:重要文化財 自由学園明日館 講堂
  • 主催:Five Star実行委員会
  • 共催:IAG(池袋アートギャザリング)

■ 参加ブランド一覧

  • 名村大成堂:毛筆・水彩油画筆・デザイン筆
  • ターナー:U-35・アクリルガッシュ・水彩絵具
  • ミューズ:バオホン
  • ファーバーカステル:赤パッケージ色鉛筆
  • ウィンザー&ニュートン:プロフェッショナルウォーターカラー
  • クサカベ:ハルモニア・シングルピグメント等

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